開放感のある視線計画と、赤い輪郭で可視化するトータルな“つながり”
アイリスオーヤマ株式会社 JECA FAIR 2025 電設工業展ブース
JECA FAIR 2025におけるアイリスオーヤマのブースでは、製品を個別に見せるのではなく、企業が持つ総合力そのものを空間として体感できる場を目指しました。設計の核となったのは、正面から対角線上の通路まで視線が大きく抜ける、開放的なレイアウトです。展示会場の中に軽やかな広がりを生み出すことで、来場者が自然に引き寄せられ、無理なく空間の奥へと歩みを進められる構成としました。
その開かれた空間の中で、強い輪郭として機能するのが、アイリスオーヤマのアイデンティティである“赤”のラインです。空間を走るこの赤は、単なる装飾ではなく、無線制御システムから個々の照明器具に至るまでを一貫して自社で担う、同社のトータルな提案力と“つながり”を象徴するデザイン要素として位置づけています。視線を導き、構成を引き締め、ブランドの思想を空間の中に可視化する。赤い輪郭は、このブース全体の体験を貫くシンボルとして機能しています。
ブース中央には、天井構造を備えた招待客限定の「新製品ルーム」を配置しました。透明なパーティションによって視線をやわらかく受け止めながらも、完全には閉じない構成とすることで、内部への期待感と好奇心を静かに喚起。外からは気配を感じ、内に入れば実際の使用環境に近い状態で製品を検証できる、より深い体験のための場をつくり出しています。展示会場の喧騒の中に、プロフェッショナルの視点に応えるための、ひとつ奥行きのある検証空間を差し込んだ設計です。
また、細部においても、配線を表に見せないつくり込みや、手の届く高さでの展示計画、ステージを起点とした自然な誘引など、あらゆる要素を「製品理解を深める体験」へと接続するよう設計しました。見せるための演出だけではなく、実際の使用シーンを鮮明に想起させるリアリティを空間に織り込むことで、来場者が製品をより自分事として捉えられる構成としています。
このブースが目指したのは、開放感の中にブランドの輪郭を鮮やかに立ち上げ、製品と技術、そしてそれらをつなぐ思想までを一体として伝えることでした。視線の抜け、赤いライン、誘引される動線、そのすべてを重ね合わせることで、アイリスオーヤマの提案力を、空間体験として印象づける展示を構築しています。
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2025年5月
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企画
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デザイン
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設計
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クライアント
アイリスオーヤマ株式会社
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クリエイティブディレクション
塙 崇之
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デザイン
岡森 真実
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設計
岡森 真実 / 丹羽 康輔 (niwa design Inc.)
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施工
株式会社フジヤ
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撮影
土田 紘